人を増やしてもスケジュールは縮まらないという悲しい現実
2020/03/02
人と月が交換可能になるのは、多くの作業者の間でコミュニケーション(意思疎通)を図らなくても、仕事が分担できる場合だけである(図 2.1)。これは小麦を刈り取るとか、綿を摘むとかいうことには当てはまるが、どうがんばってもシステムプログラム開発には当てはまらない。
仕事が連続していて分担できない場合、人を増やすという対策はスケジューリング上、何の効果も生まない(図 2.2)。女性がどれほどたくさん動員されたところで、子供1人が生まれてくるまで十月十日かかることに変わりないのと同じだ。多くのソフトウェア開発作業は、デバッグという順次的性質があるためにこうした特徴を持っている。
1975年に書かれたシステム開発の名著にすでに「人を増やすという対策はスケジューリング上、何の効果も生まない」と書いてあるにも関わらず、未だにこれが蔓延している業界。
私もこれを言われるたびに困ってしまうことが多い。対策を取る必要があるのは承知しているが、人を増やすと問題を増やすだけになることを説明しきれない・・。これが有効なのは、本当に分担しやすい特殊な状況だけに限られているのだが・・。